小委員会としてのページになりました

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有志団体としてスタートした当ページは、 9月中旬に大阪府不動産鑑定士協会の業務委員会取引価格情報活用小委員会として 情報発信する場となりました。

当ホームページで発信している情報

私たちを取り巻くデータ環境の変化

昨今、一般に公開される オープンデータ については、大量のものが手軽に手に入る環境が整備されつつあります。

オープンデータやビッグデータと呼ばれるデータの出現で、 データサイエンスやAI(artificial intelligence 人口知能)と呼ばれる分野が脚光を浴びていますが、 データサイエンスと呼ばれるデータを分析を行うことで、 今までわからなかったことが分かるようになり、 そのことが各種業界に様々な影響を及ぼすようになると考えられます。

不動産の価格との関係

これらオープンデータのうちには、不動産の価格を形成する要因を考える時に、 その資料の一部として有益なものも含まれると考えられます。

もしくは、将来的には、データ分析を行うこと自体が一般化して 不動産の市場参加者の意思決定を左右するようになれば、 その市場参加者がどのようなデータ分析をするのかということも 価格形成要因の一部になる可能性さえあるかもしれません。

つまりは、不動産の価格の専門家としては、いずれかの時点で、 変遷していく大規模データとどう向き合うかを考える必要性に迫られるのではないかと 私は考えています。

分析の専門性と各業界との関係

オープンデータとされているデータであったり、 ビッグデータとよばれるものであったりは、 その量が大量である点にメリットがあるとともに、 大量であるがゆえに、紙ベースにデータを印刷して、 それを人間が目で見て観察したりすることには向いていません。

そこで、通常は、コンピューターを活用して、これらデータの分析を行うことになりますが、 そのコンピューターの利用には、 コンピューターでデータを処理するための専門家に任されることになります。 そして、また、これらのデータ処理は統計学と親和性が高く、 これらを行う人たちは統計学の専門家とも重なることになるでしょう。

現在のところ、データの分析を専門的に行う集団と それを活用するユーザーとの住み分けが 起こっている状態にあると考えます。

不動産の鑑定評価とデータ分析

さて、不動産の価格が形成される過程というものは、 他の物のそれとは異なり、複雑であるがゆえに不動産鑑定士というものが存在しています。

確かに、新築、中古の戸建て住宅、分譲マンション価格や、典型的な収益ビル等、 サンプルも多く、価格形成要因も単純なモデル化しやすい場合、 AIによる、取引価格予測等が鑑定評価上の正常価格と近くなる可能性は非常に高いでしょう。 そして、これらモデルが単純な場合、不動産鑑定士でないデータサイエンティストにも 単純で常識的な不動産の価格形成予測のもとで、分析が可能であると思われます。

しかし、一方で、不動産鑑定士でないデータサイエンティストは、ともすれば、 これら典型モデル以外の評価対象について、 興味の対象外であるか、存在自体を知らない可能性があります。

実際、あるデータサイエンティストの認識として、不動産の鑑定評価を一括りにして、 「既に不動産の評価においては、人よりもAIに軍配があがっている」 という趣旨の事を述べているのを聞いたことがあり、 私個人としてはとても憂慮すべき事態なのではないかと思っています。 その憂慮は、鑑定評価業務がAIにとって代わり、職を失うのではないかということではなく、 最先端のデータサイエンティストの不動産の鑑定評価に対する認識の甘さに対してです。

現在の科学技術の進歩をみれれば、 いずれは、不動産の評価がAIによって正確に評価されることがあると考える方が自然であり、 これを否定することの方が不合理です。

しかし、「既に」AIが不動産の評価を上手に出来ているという データサイエンティストが中心になっている社会では、 真のAIの完成は、少し遠いような気がします。

そこで、不動産の鑑定評価に関しては、他の各業種と違い、 鑑定士側からもデータ分析の領域に積極的に踏み込んでいく必要性があるのではないかと考えます。

もし、不動産の価格に関するデータ分析を 不動産鑑定士の関わらないデータ分析のみの専門家に任せることは、 本来、社会から要請されるであろう不動産の価格の分析(不動産の鑑定評価も含む)と 異なる結果が生じる可能性があります。 また同時に、そのようなことが起こったとして、 データの専門性を読み解ける鑑定士が存在しないと、そのデータ分析は、 不動産の鑑定評価の視点から見ても正当性があるのかどうかの議論を行う事自体が出来ないのではないかと考えます。

ですから、もし、将来、評価業務がAIにとって代わる時代が来るのであれば、 そのAIを開発し、管理に関わることが新しい不動産鑑定士の業務であるべきだと私は考えます。

そのためには、不動産鑑定士もそこへ関わっていく積極的な努力が必要かもしれません。

ここで、発信する情報がその努力の手助けになれば良いなと思って、私はこの小委員会に参加しています。

やってみよう

上述のような、私個人の主観的な思いは別としても、 今流行りのデータサイエンスを自分で行うことは、 他の人が出来ないというのならば、なおさら、 チャレンジすることに価値があるのではないでしょうか?

まだまだ、私自身この小委員会の中で、具体的に何ができるのかわからない状態で、模索中です。 しかし、何をやるにしても最低限必要不可欠となる、 自分のパソコン上にデータサイエンスを行うための環境を整える方法についての ページは整備しました。

環境整備のためのHowTo

上記のページの「R環境の整備」という項目です。

模擬R研修会

さて、パソコンに不慣れな人にとって、何かをインストールする作業というのは大変です。

先日、当小委員会のメンバー4人に対して、 R環境の整備を含むRの基礎講習を行う模擬研修会を行いました。

R自体は、参加者全てが既に過去にインストールしており、 バージョンがバラバラであったけれども、 最新バージョンへの入れ替えのためのインストール作業は行いませんでした。 また、全ての参加者がRStudioがインストール済みであったため、 このインストール作業も行いませんでした。

そのかわり、R上での環境を整えるため、 パッケージのインストールを行ってもらいました。 Webページ紹介のものよりも、少し簡単な、Rstudioからインストールする方法を 指示して、行いましたが、インストールパッケージの量がある程度多いこと、 回線環境があまりよくなかったこと、Rstudioの操作に慣れていないこと等 があり、1時間程度はかかったと思われます。

RとRStudioのインストール作業を行わず、数個のパッケージをインストールするだけで、 これくらいの時間が掛かるのということは、 パソコンにそれほど親しみが無い人を含む多人数の人たちに、 各自のパソコンを持ってきてもらって そこで、皆で一緒にインストール作業を行おうとする事は、 現実的でないのではないかと参加者達から意見が出ていました。

特にネックなのは

  • パソコンのOSが最新のWindows10か?
  • インターネットの接続環境が安定しているか
  • モバイルパソコン等で、画面が小さいかったりポインタの操作がしずらかったりしないか
  • 既に構築された環境との整合性の判断

一方で、このネックとなる要因を見てみれば逆に、 パソコンと環境がまともで、 得意な人が上記ページ等を見ながら、マンツーマンで 指示をした場合は、何とかなるんじゃなかろうかとも感じました。

それでも、現在のところ一番現実的なのは、 沢山の人が集まって、インストール作業をするよりも、 各人がWebページ等を参考にインストール作業にトライし、 その出来ないところをフィードバックしてもらって対応するという方法がベターかな?という感じです。

もう一つ、現実可能かどうかは別として、研修会用にR環境を整備したパソコンをこちらで準備しておいて 研修生にそれを使ってもらうというものもありました。

この後の予定

とりあえず、環境整備の情報は掲載できたので、 次はGitHubリポジトリにある各種ツールをどうやって使うのかを 紹介するページを作っていきたいと思っています。

また、当該Webページ自体の紹介が、鑑定協会からもまだされていないので、 大阪府鑑定士協会のHPからのリンク等により、 鑑定士の先生方の目に触れるルートを作ってもらえるように 小委員会として働きかけている最中です。

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